sangak’s diary

『ひるおび』を見て思うこと

●会見の内容

 

 冒頭から昨日の日馬富士引退会見を分析。スタジオからは、日馬富士の引退を残念がり、元大相撲力士で相撲甚句の歌い手である大至伸行が「彼の誠実な人がらは見えたと思う」と称賛する一方で、厳しい声もありました。

 元スポーツキャスターで東京相撲記者クラブ会友の大隅潔氏は「ファンや協会、親方たちには謝罪を述べたが、被害者に対する謝罪の言葉がなかった。まず始めに被害者と被害者の親方に謝罪をすべきだった」とし、スポーツ評論家の玉木正之氏も「日馬富士貴ノ岩を弟子の指導といっているが、それは違う。部屋が違うので、貴ノ岩は弟子ではなく対戦相手。礼儀礼節に反したというが、9針縫うほどのケガをさせるほどのことをしたのか? それを話してくれない」と苦言。

 元裁判官・国際弁護士の八代英輝氏は「厳しいことを言うが残念な会見だったと思う。彼が置かれた立場は刑事事件の被疑者。被害者に対する謝罪が無かったのは残念。さらに指導といっているが、暴力を奮った時点で指導ではなく、自己満足にすぎない。なぜ、この(会見までの)期間にそこまでの考えに至らなかったのか」と見解。

 その後、八代氏と大隅氏からは「事件当日の経緯が以前の白鳳の発言内容とも食い違っている。1発殴られたところで止めにはいったのか、十数発殴られている間黙って見ていたのか、まったく違う」と指摘。

 さらに玉木氏は、日馬富士の「騒動のあと貴ノ岩から謝罪があり、握手をして別れた、こんなおおごとになるとは思わなかった」という言葉に対して、「貴乃花のせいで大事になったという思いがあるのではないか」と苦言。

 他方、批判が相次ぐ中、意見を求められた小説家でタレントの室井佑月氏は「若い2人がマスコミのリンチにあっているみたい」ともらしていました。

 

横綱にも再起の機会を

 

 相撲素人の自分としては、暴力をふるった人間が業界の最高位にあるのはおかしいと思っておりますので、「横綱をやめる」ことは当然だと思いますが、しかし「横綱が不祥事を起こしたら即引退」という、業界の慣例にははなはだ疑問です。

***************************************************************************
Q.大関はどうなると降下しますか?

A.大関は2場所連続して負け越すと、降下します。但し、次場所で10勝以上すれば大関に復帰します。この復帰に伴う大関として

の扱いは番付編成会議当日から始まりますが、この場合は協会からの使者派遣はありません。


Q.横綱も降下しますか?

A.横綱はどんなに成績が悪くても降下しません。横綱としての成績を維持できないときは引退の道しかないのです。横綱を返上

して大関に降下し、相撲を取ることはできません。
(大相撲.comより)
***************************************************************************

 例えば、「前相撲」(新弟子検査に合格した力士。番付外とも)にまで落とすとか、別の部屋に移籍して四股名も改めで出直させるとか、それでよいのではありませんか? 横綱としてふさわしくないといっても、力士としての実績・実力がすべて否定されるのは、どうしても納得できません。

 今回の事件の背後には、「いまだに『かわいがり』を是とする因習、暴力に対する業界全体の認識の甘さ」があるとされていますが、この横綱の扱いも、そういう因習、もっといえば悪習のひとつではないでしょうか?

 相撲を語る上で常に「伝統」を押し出す人たちがいらっしゃいますが、伝統と悪習は切り離して考えるべきであり、暴力追放もそうした動きから生まれたはずです。

 であるならば、横綱に対する扱いを含めて、業界全体の伝統や慣例を見直し、守るべきとこは守り、改善すべきところは改善したほうが良いと思います。その如何によって、相撲が伝統芸能のまま衰退していくのか、スポーツとして拡大発展していくのか、の分かれ目になるような気がします。