sangak’s diary

『ひるおび』を見て思うこと(相撲)

●犯罪の被害は本人の不注意?

 

 スタジオでは、貴ノ岩氏の今後について情報が飛び交いました。
 まず冒頭で、先日、デーモン小暮氏が「自分に非がなくて全休しなければならなかった力士が、全休扱いとして番付が下がらなければならないのはおかしい。見直すべきではないか」という趣旨の発言をされたことにふれました。
 これに対して、元大相撲力士で相撲甚句の歌い手である大至伸行氏は、番組の取材に対して「冷たいようだが、今回の件は本人の不注意となり全休扱いで、十両陥落はまぬかれないのではないか」という内容のコメントを発表し、スタジオの元スポーツキャスターで東京相撲記者クラブ会友大隅潔氏も「昔の公傷制度があった時代でも認められないだろう」とコメント。

 

 

●怪我→無理をする→悪化の悪循環を強制するブラック体質

 

 スポーツジャーナリストの二宮清純氏は「角界にはヒエラルキーがあって、十両が一番大きな境目。確か、親方株を所得するのにも、十両で30番以上の経験が必要だったはず。この十両で、天国と地獄の差がある」と角界の厳しさを伝えつつ、「貴ノ岩氏は被害者であることがはっきりしているのだから、救済措置、特例措置を認めるべき」と指摘。
 元裁判官・国際弁護士の八代英輝氏は「犯罪の被害にあうことを『本人の不注意』とするのは、公益財団の判断として正しいのか? 社会の常識に反している」と疑問を提示。
 また、怪我をしても休めないことに対して、元競泳選手でスポーツ解説者宮下純一が「怪我をしたら休み、次の機会にそなえるのはアスリートとしては当然のこと」と疑問を呈すると、二宮氏は「そこが力士とアスリートの違い。伝統芸能を担う力士には巡業も仕事のひとつ」と説明。
 それを受けて、毎日新聞論説委員の福本容子氏は「巡業が大事なのは分かるが、もう少し科学的な検証をすべきではないか」と、現代の感覚にそぐわない角界の実態を指摘しました。
 ケガをしても休むことが許されないなんて、まるで古代ローマの剣闘士みたいですね。彼らでも、花形とされる地位になると、試合を休むことが許されたはずなんですけど。あれ、そうなると今の角界って、古代ローマよりも遅れているということになりませんかね。

 

●公傷制度って何?

 

【公傷制度】大相撲で,本場所の取組中にけがをして途中休場した場合、休場した場所と同じ番付の位置にとどめる制度。1972年に導入、2003年廃止(webilo辞書より)
 公傷制度の廃止に関し、大隅氏は「公傷制度で休場する力士が1人、2人ならいいが、多くの人間がそれを主張したら巡業が成り立たない」と語り、二宮氏も、かつて不眠症を訴えて休場した力士が、後日、サーフィンをしているところをスクープされた件をあげて、制度の悪用をふせぐ難しさを補足。
 これに対し八代氏は「普通の会社なら労災が適用される案件。労災認定はされるかもしれないが、なぜ角界の中に制度として存在しないのか。悪用されるからといって制度自体を無くすのはいかがなものか」と苦言。
 さらにその後、スタジオで、2007年6月に時津風部屋で起きた暴行死事件において、暴行に関与した兄弟子が「警察の捜査に協力した」という理由で、特例で初場所と同じ番付に置かれた事実が明らかになると、八代氏は「例外があるんですね。しかも加害者ですか……」と呆れたようすを見せました。

 

●やっぱり相撲協会って変?

 

 番付によって大きな差があるとわかっているのに、ケンカに巻きこまれた被害者に対して、事情を一切考慮しないのはいかがなものでしょうか。まして、暴行の加害者とされる人物には特例が認められているのに。
 これでは貴乃花部屋に対する相撲協会の嫌がらせにしか思えません。以前から「貴乃花親方は相撲協会に不信感を抱いている」という話が聞かれますが、このような歪な対応を目にすると、本当だったとしても当然のように思います。
 この2つの対応の差については、ぜひ協会側の公式なコメントが欲しいところですね。