sangak’s diary

林野庁が花粉症を悪化させている?

花粉症は環境問題である (文春新書)

●【花粉症に朗報】林野庁が開発した「無花粉スギ」「雄花枯死剤」とは(weathernews)
https://weathernews.jp/s/topics/201802/270105/

 林野庁が2007年に立ち上げた「花粉発生源対策プロジェクトチーム」の方針は、スギを伐採した後に植林する「花粉症対策スギ」の苗木の供給量を大幅に拡大することでした。
(中略)
 スギの人工林は全国に約450万haありますが、1年間に造林(伐採後に苗木を植えること)する面積は0.64万ha。すべての杉林を花粉症対策スギに転換するには700年かかるという計算だそうです。
(以上、記事より抜粋)

 花粉が飛び交う季節になりました。自分も花粉症なので、さっそく鼻炎がひどいです。心なしか喉にもダメージがきている感じです。
 というわけで、早く無花粉スギへの転換を進めてもらいたいのですが、どうも上手くいってないみたいですね。杉の大量植樹は戦後から始まったそうですが、わずか100年にも満たない政策の転換で、なぜ700年もかかるのでしょうか?
 その原因のひとつは下の記事が参考になりそうです。

●「花粉症対策スギ」の普及が進まない根本理
 すべて植え替えるには700年掛かる!(東洋経済ONLINE)
http://toyokeizai.net/articles/-/161376

 2015年度に植えられたスギの苗木は約1984万本(暫定値)、面積にして約6600ヘクタールだった。うち花粉が少ない対策苗木は426万本、面積に換算しても1420ヘクタール、2割に過ぎない。
(以上、記事より抜粋)

 これだけ花粉症が騒がれているご時世に、普通の杉を年間1500万本も植えているそうで。そりゃ花粉は増える一方ですわ。土壌対策もあるんでしょうけど、杉を植えるのはやめるべきではありませんかね。そもそも、その地域にあった植物を増やさないと環境破壊が進むだけでしょう。
 さらに、こうして植林した杉の場合、土砂崩れ対策にはならないという話もあります。

●山は、なぜ崩れるのでしょうか。土砂災害はなぜ起こるのでしょうか。(土砂崩れ・土砂災害防止研究所)
http://www.ecosys-jp.net/yamakuzurekenkyuusho.htm

 崩れる原因の80パーセントが、人間が作った挿し木を植林したことにあります。
 「挿し木の山々」が崩れているのです。
(以上、記事より抜粋)

 こうなってくると、林野庁は何のために毎年大金を使って普通の杉を植えているんだって話ですよね。
 花粉が増える。材木としては売れない。水害対策にも効果的ではない。メリットなんて何一つないじゃないですか。
 下記の記事にそのヒントがありそうですね。

●日本国民が払わされかねない林業政策のツケ
 「森林環境税」や「森林バンク」は本当に必要か(東洋経済ONLINE)
http://toyokeizai.net/articles/-/201820

 第一生命経済研究所は、花粉症で外出を控えるといった個人消費への影響などを考えると、その経済的損失は7500億円を超えるという試算も出している。にもかかわらず、当面スギ林がなくなることはなく、現在も新たなスギの植林が行われている。
(中略)
 林業の成長産業化はこれまで同様に、まったく同じパターンで全国一律の画一的な政策を繰り返そうとしているようにしか思えない。たとえば、林業の成長産業化のための財源として森林環境税の創設が提言されているが、いまのところ住民税に上乗せする形で1人1000円を徴収。住民税を支払っている6200万人が対象になる予定だ。
(中略)
半世紀前、スギを全国一律に近い形で植林させたことで、日本は森林資源の4分の1を非効率なものにしてしまったという反省ができていない。
(中略)
 森林環境税の導入構想は、手入れが行き届いていないスギなどの人工林を市町村などが集約して、経営意欲のある森林経営者に貸し出す新たな制度「森林バンク」の財源として活用されることになる。
 山林を民間の林業経営事業者などに貸すことによって、大規模化することで「収益性のある土地」に進化させようという発想だ。しかし、この発想はすでに「農地バンク」構想で試した案であり、失敗がはっきりしている。
(以上、記事より抜粋)

 やっぱり「お役所仕事」ということになってしまうですかね。大切な税金を使って何をしているんだか。