sangak’s diary

【目黒川花見問題】行政と町内会が住民の生活権を無視?

お役所とのトラブル解決法―権力に屈せず法的手段で役所の不正・違法と闘う

住宅街に300万人! 桜満開・目黒川のリスク管理(NIKKEI STYLE)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO28675220Y8A320C1000000

 「桜見物が増え始めたのは2012年の春でした」。中目黒商店街連合会の本橋健明会長は振り返る。樹齢50年、「熟年」の並木が競って花を咲かせる。ピンクの雲のように川面を包む景観がテレビや雑誌でとりあげられ、都心の隠れ花見スポットの人気に火がついた。駅前の交差点は車が大渋滞。道路では酒盛りがはじまり住宅地には食べ残しのゴミや飲み終わったペットボトルが投げ込まれる。「このまま放置したら危険。必ず花見客や住民のトラブルが起こる」。
 (中略)
 ゴミ投棄や夜間の騒音・臭い、トイレ確保も課題として残る。ごみの持ち帰りは地元の小学生らが描いた絵を道沿いに掲示し訴えているが、持参したゴミをポイ捨てする花見客はいる。桜が散るまで毎日早朝、区職員と委託業者が回収する。昨年の処分量は約2.6トン、一昨年の2倍以上に増えた。路上の宴会は禁止されているが民間駐車場や住宅敷地内でも所有者が認めれば飲食できるため、騒音や臭いが住民の生活環境を乱し、区に苦情が持ち込まれる。
(以上、記事より抜粋)

 この問題は、本日放送の「噂の!東京マガジン」でも取り上げられました。
 川沿いの住民たちは、ライトアップの時間短縮(20時まで)や屋台の営業時間の短縮などを訴えているそうです。
 こうした声に対して、中目黒商店街連合会の本橋健明会長は「ありとあらゆることに対処している」と豪語されていましたが、実際に不満をもらしている方がいるからには、「対処している」と断言するのはどうかと思いますね。
 さらに、新上六町会の加藤義実会長は「町会といっても広いんですよ範囲が。川沿いに住んでらっしゃる方は確かに少ないから少数の人のアレなんですね」と、被害者を訴えている人々がごく一部だと発言。
 「迷惑をこうむってるというのはわからなくもないですよ? (しかし)これだけ公共的にたくさんの人が来てやる分において、ある程度、我慢しなきゃいけない部分が出てくると思うんですよ。ゴミが散らかってたとか、(客の声が)うるさいとか。夜9時までは我々も見回っているわけですよ。ゴミも拾ってるわけです。それにも関わらず、あーだこーだ言うわけですよ。だからそういう意味で、全然(被害を訴えている人々を)無視しているわけです」と、まるで地域の発展のためには、少人数の犠牲など構わないかのような言動で、これはテレビを見ていて呆れてしまいました。

地域観光発展のためなら住民の被害などお構いなし

 誰だって、平和に静かに暮らす権利があるんですよ? わずかな生活音でさえ隣近所に気を使うのが常識なのに、まったく関係のない見物客の騒音やゴミに悩まされている人たちの声を無視するなんて、この方たちは人としての最低限の礼節すら知らないのでしょうか?
 本橋会長は、不満をもらしている方々に対して「(目黒川の桜は)せっかくできた姿ですから、これは財産だと思っています。少しの苦情だったら一生懸命聞いて、何とかこれから一緒になって、もっと安全にやっていきたいと思っています」といいつつ、「カメラの前で(被害を訴えている住民の方に)寄り添えますか」と質問されると、「いや、今はそんな予定はありません。だって今考えてないもん。やりたくない」と明言されていました。
 この問題に関して、住民同士の間で相当こじれているようですが、ここまで堂々と人権侵害を公言するのはいかがなものでしょうか?
 日本の風物詩の除夜の鐘ですら住民に配慮して自粛を促される時代に、このような発言をするとは恐れ入りますね。「ようやくここまで来た」とおっしゃっていますが、調べたところ目黒川が花見スポットとして有名になったのはココ数年のことで、まだ10年も経っていないそう。
 そんなつい最近のことならば、なおいっそう改善に取り組むべきだと思うのですが、どうなんでしょう。
 先日、女人禁制の伝統を盾に人命を軽視するかのような相撲協会の行動が批判の的になりましたが、聞いたところでは、あの「伝統」は100年程度の話だそうです。
 一世紀に及ぶ積み重ねのある「伝統」ですら時代錯誤と言われて修正すべきと言われているのに、たかが10年にも満たない「花見スポット」が、地域住民をないがしろにして改善を怠っていい理由は無いと思うんですよね。
 そのうちノイローゼになった住民が、桜の木に農薬をまいたり、油をまいて火をつけたり、なんてことにならないといいですけど。それで裁判になっても、今回の発言のせいで、商店街の方々は負けるんじゃないですか?

騒動の原因は区の無策にあり?

 また本件に関して、目黒区の土木工事課の清水誠課長や産業経済・消防生活課の樫本達司課長は、番組の取材に対して以下のように答えていました。
「花見に来られた方にはゴミの持ち帰りをお願いしているため、ゴミ箱の設置はしていない」
「川沿いの混雑対策として、委託警備員を約1700名配置している」
「屋台の出店には規制ができないので、お店の方に客の整列やゴミ箱の設置をお願いしている」
といった感じで、二言目には「マナー向上をお願いする」というだけで、具体的な対策は現場に丸投げのようです。
 ちょっと疑問なのですが、目黒川の桜並木は、区が推進していたことではないのですか? だとすれば、その結果起きている弊害については区が責任をもつべきだと思うのですが、なぜ問題を住民に押し付けるのでしょうか? 対処ができないなら全部切り倒すか、移植してしまえばいいじゃないですか。住民の生活環境を乱してまで続ける意味ってありますか?
 番組の最後には、総合司会の森本毅郎氏は、「(商店街や町会には)『俺たちはちゃんと対策やってるよ!』という感情があるんじゃない? (しかし)もう少し区が積極的に動く必要があるんじゃないかなぁ。住民同士の対立構造をそのまま横で傍観しているというのはよくないと思うんだよね。あれ(騒動の舞台)、公園とかそういうのではなくて、生活の場ですからね。そういうものが全部脅かされちゃうという住民生活は、なんとしても、少しずつ改善していく。これは区としての義務もあると思うんですよ」と、行政側の怠慢を指摘しました。