sangak’s diary

【養育費不払い者氏名公表】南美希子氏「男には『親になる』という意識をもたせるべきだ」

オバサンになりたくない! (幻冬舎文庫)

明石市が養育費「泣き寝入り」救済条例を検討 市が支払いを命じ、従わない場合は氏名公表も(毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190917/k00/00m/040/085000c

 兵庫県明石市は、ひとり親が離婚相手から養育費を受け取れず、「泣き寝入り」して子どもと困窮するのを防ぐため、市が離婚相手に養育費の支払いを命じ、従わない場合は氏名を公表する制度の検討を始めた。来年4月の条例施行を目指す。
(以上、記事より抜粋)

 この話題、本日の「バイキング」でも取り上げられていました。
 兵庫県明石市泉房穂市長は、会見ではずいぶんと熱弁を奮っておられてましたが、これがどれだけ実効性があるか疑わしいですね。そもそも名誉毀損に当たらないのでしょうか? 不払いというのはあくまで家族間の問題では? そこに行政が介入してよいのでしょうか? 「不払い」という訴えに対して、どこまできちんと調査するのですか?
 例えば、養育費を受け取っていながら、相手方に恥をかかせたいと思って行政に訴える者や、そういって相手を脅迫する者も出てくることは想像に難くないわけですが、市長はそういった事柄にたいして完璧に対応できると自信があるのでしょうか?
 仮に冤罪被害がでたときはどのような対応をするのでしょうか?

子供のためといいながら

 さらにいえば、離婚後に問題になるのは養育費だけではありません。「親権は母親有利」という男女差別がまかり通っていることや、親権を持ったがわの独断で子供との面会が禁止されてしまうといったことも、よく聞かれています。もし市長が本当に「子供のため」と考えているのであれば、こういった案件にもきちんと対応すべきではないのですか?
 養育費の取り立てを厳しくするのであれば、こういった部分にもきっちり対応していくべきだと思います。
 会見を見る限り、市長はかなり冷静さを失っているように感じました。「もしかして身内に似たような状況の人がいて、その報復的な感情から立場と権力を利用しているのでは?」と そう邪推したくなるほど感情的でした。
 いい年した大人であり、公人なのですから、もう少し冷静になってもらいたいものですね。あなた方のやることは、すべて税金だということをお忘れなく。

専門家も目をそらす「父子家庭」

 番組に出演された社会学者で武蔵大学社会学部教授の千田有紀氏は「ホームページに掲載するだけならお金はかからない」とおっしゃっておられましたが、その記載をする人は無料ボランティアなんですか? 違いますよね? また上記の通り報告内容について調査するとしたらそれだけコストがかかります。まさか懸念したように、自称被害者の言うがまま発表すればいいと思っているのでしょうか? だとしたら恐ろしい話ですね。

 あと番組見ていて気になったのは「養育費払わない=元旦那」、「子供を育てている=元妻」という、母子家庭前提で話を進めていることですね。これもまた男女差別的な偏見といっていいでしょう。世の中には父子家庭が存在しますし、女性側が不倫の末に家族を捨てて身をくらますということもあります。

 番組に出演したフリーアナウンサーの南美希子氏に至っては「虐待問題もふくめて、男には『親になる』という意識をもたせるべきだ」と、「養育費の不払いは男であり、男は子育てに関する意識が甘い」という偏見を公言しておりました。養育費の不払いは女性側でも起こりうることですし、母親の虐待問題も何度も世間を騒がしております。にもかかわらず、このような差別発言を堂々とする人間が、マスメディアの中にいることに呆れるばかりです。

 少し前、「父子家庭は、母子家庭に比べて行政の保護を受けられない」と聞いたことがあります。その後、行政の現場がどのように変化しているかわかりませんが、「離婚後の子育て」として母子家庭を前提とした偏見が依然として残っていることは明らかです。
 泉市長にはそのあたりのことがちゃんと頭にあるのか、はなはだ疑問です。