sangak’s diary

法医学教室の事件ファイル43を見て思うこと

法医学教室の事件ファイル43
【脚本】今井詔二【監督】山本邦彦

●早紀が常識人?

 かつて、二宮早紀(名取裕子)は、石川妙子(南野陽子)から「息子の冤罪を晴らしてほしい」と懇願されるが、「刑事の妻だからと、そんな頼みに軽々しく応じるわけにはいかない」と夫・二宮一馬(宅麻伸)にそれを伝えることを断ります。妙子の息子は、その後、冤罪を晴らせないまま自殺するという流れ。
 この展開を見ていて、ちょっと違和感がありました。だってこのドラマの主人公である早紀は、法医学者でありながら事件に首を突っ込むタイプです。それも、個人的な興味や関心を理由からで、夫にどれだけ止められても聞く耳をもちません。とくに知人が巻き込まれたときには、まさに猪突猛進状態。そして、彼女の活躍で事件が解決するというのがこのドラマのパターンです。
 そんな好き勝手なことをしている早紀が、常識を盾にして知人の依頼を断るのは、どうにも違和感がありますね。実際、今回の話でも、妙子から「3年前の事件の真相を知っているという人間から連絡があった、一人だと怖いから同行して欲しい」と頼まれると、夫に相談することもなく承諾し、呼び出された場所にひとりで向かっていますし、真犯人に思い至ったときも独断で現場に向かいます。
 ちなみに、相談を受けた3年後、別の女性が殺害されます。事件の詳細を知った早紀は、夫に過去のことを伝えるのですが、そのせいで妙子に殺人の疑いがかけられます。
 取り調べを受けた妙子は早紀を呼び出し、「あなたが夫に話して、私に疑いをかけられるようにしたのね」と問い詰めたところ、早紀は「そんな……」と驚いた顔をするのですが、これ、そんなに驚くことでしょうかね。妙子の行動は普通のリアクションだと思うのですが。

 

●唯我独尊

 違和感はそれだけではありません。
 事件の捜査が進み、一馬から妙子への接触を禁じられた早紀は、妙子から話を持ちかけれても無視しようとし、それどころか被害者の母親から妙子が責められたのを目撃すると、早紀を心配するどころか、「あのお母さん、3年前のあなたみたい」とチクリ。古傷をえぐるようなことを平然というあたり、3年前のことは全く気にしてないんでしょうか。
 さらに真犯人に追い詰めれたところで夫に助けられるのですが、その第一声が「遅いよ」でした。夫の制止をかなぐり捨てて突進した以上、自業自得だと思うのですが、救ってもらって逆ギレとは、他人に感謝するという気持ちも乏しいようですね。