sangak’s diary

尾木直樹氏「児童相談所の建設で青山のブランド価値は上がる」

カウンターと暴力の病理

南青山の児童相談所建設に反対の声。各地で続く建設断念に子どもたちへの偏見(BUSINESS INSIDER)
https://www.businessinsider.jp/post-178352

 施設の総事業費は約100億円。建設予定地は表参道駅から徒歩5分で、周辺に世界的高級ブランドのショップが並ぶ。
 (中略)
これまでの報道によると、10月12、14日に開かれた港区による周辺住民への説明会では、一部の住民が猛反対の姿勢を見せ、怒号も飛び交ったという。
 (中略)
 茨城県内の児童相談所で10数年にわたって嘱託医を務めてきた成田奈緒子さん(文教大学教育学部特別支援教育専修教授)は憤りを隠さない。
「非常に貧困な発想。ともに地域で子どもを育てるという意識が低すぎると言わざるを得ない。子どもが虐待死すると、何をしているのだと責められるのが児童相談所。港区はその機能を充実させようとしているのに、差別的な認識や偏見で反対しているように聞こえてとても残念です」
(以上、記事より抜粋)

建設反対派は意識の低い差別主義者?

 少し前から報道されるようになった話で、本日の『ビートたけしのTVタックル』でもこの話題が取り上げられていました。番組によると100億円という建設費のうち、土地代が大半を締め、建物の建設費は30億円程度だそうです。

 教育評論家で法政大学特任教授の尾木直樹氏は「地区のブランド価値を下げるという意見もあるが、最近はこういう児童施設の存在をアピールすることでブランド価値が上がる」と、住民の不満は杞憂であると主張。
 しかしこの意見に対し俳優でタレントの大竹まこと氏は「それは100億もかけることなの? ビルの2フロアを借り切ればやれるんじゃないの?」と、100億円という税金を投入することへのコストパフォーマンスに疑問を呈しました。
 個人的には「他の地区の例を押し付けるのは乱暴ではないか?」という気がします。そうやってブランド価値をアピールしなければならない地区もあると言うだけの話で、すでにブランド価値のある地区は、むしろ多少の不便さを我慢してでもそのブランドを守ったほうがいい場合もあると思います。
 極端な話ですが、世界遺産に登録された地区なんかはそうですよね?
 幼稚園や保育園の建設騒動のときもそうですが、「子供のため」を錦の御旗にして振りかざして住民側の意見や主張を封殺するかのような言動は、聞いていてあまり心地いいものではありません。
 そういう行政側の一方的な押しつけを拒否できることが、近代民主主義の原点ではないのでしょうか? いつから日本は社会主義国家になったのでしょうか?
 「まず建設しろ。細かいことは出来てからだ。不満もそのときに聞いてやる」というのでは、直接影響を受ける人々に対して無責任な気がします。

現住民以外の意見は必要ないのか?

 コストパフォーマンスの問題についてはスタジオの参加者でも異論はないようで、ここでコラムニストの犬山紙子氏は「でもこの方たちが騒いでいるのはそこ(コスパ問題)じゃないですよね」と、番組のインタビューでも触れられた「街のブランド価値」という点に話を戻します。
 すると政治評論家の東国原英夫氏は、取材に答えた人たちにも言及。「反対している人間が本当に住民なのか、どこかの反対派が送り込んだ人物なのか、ちゃんと調べる必要がある」と、何らかの組織的な抗議活動の可能性を示唆します。
 これはちょっと不思議な話ですね。住民以外の人が反対してはいけないのでしょうか?
 先ほどの尾木氏の言葉を借りるならば、ブランド価値というものは、地区外に住んでいる人々にも関わってくる問題で、「青山」という街のブランドを大事にしている人ならば、誰でも反対する権利はあるのではないでしょうか?
 逆に「住民以外は意見するな」ということであるなら、この番組の参加者で青山に在住の方はどれくらいいたのでしょうか? このあたりちょっと極論といいますか、意見に矛盾があるように感じられるのは、自分だけでしょうか?

使われるのは血税

 まあ、都会とも言えない場所に住んでいて、青山あたりに用のない立場からすれば、「必要なら建てればいいんじゃないの? うちの近所に同じ施設ができたとしてもとくに不満は感じない。ただ100億はかけすぎじゃないかなぁ」という程度ですね。
 土地代に半分以上つぎこむというのは税金の浪費な気がしてなりませんし、税金を投入するなら地区住民の理解を得ることが大事だと思います。
 ちなみに上記記事を書かれたライターの島沢優子氏は、最後に成田奈緒子氏の言葉を挙げて記事を締めくくられています。

「みんな苦悩している。親もそんなはずじゃなかったと思いながら子育てしている。
 そんな彼らの事情を把握せずにひとくくりに考えないでほしい。
 私たちのケアがうまくいかないこともあるが、立ち直る人たちは多い。
 そんな施設ができることを、誇りに思ってほしい」

 果たして「ひとくくりに考えている」のは地域住民たちだけなんでしょうかね?